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中学受験算数は計算が大事!必ず押さえたい計算上達のコツ

中学受験は計算が大事!計算上達のコツ 算数

ほとんどの大手塾では3年という期間で中学受験の算数を完成させるカリキュラムを組んでいます。通塾を決めた塾のカリキュラムについていけば自然と力がついていくようになっているのですね。

ところが、このカリキュラムをこなして力をつけるための土台となる計算力に関しては、ほとんどの塾でフォローが手薄の状態となっています。言ってみれば「計算力はご家庭でつけてくださいね」というスタンスなのです。実は、受験算数の単元を全て履修した後の6年生でも、計算力に足を引っ張られているお子さんが少なくありません。

計算力が不足していると、どのような問題が起こるのでしょうか。

まず、せっかく解法を理解してもテスト時間内に正しい答えにたどりつくことができません。また、計算に時間がかかってしまうため、家庭で多くの問題をこなせなくなってしまいます。こうしたことが続くと、次第に解法まで理解できなくなっていき、算数への苦手意識につながっていきます。

今回の記事では、非常に重要な計算力をつけるためにご家庭で注意できることをとり上げてみたいと思います。全てを一気にマスターしなくても、ひとつでもふたつでも日々の計算練習の際に取り入れていただき、受験に必要な計算力をつけていただきたいと思います。

受験算数をはじめる前に「整数の計算」と「計算のルール」は入塾前に習得

中学受験の算数をはじめる前に計算力をつけておくことは非常に大切です。

まず、整数の「足し算」「引き算」「掛け算」「割り算」を入塾前にマスターしておきましょう。1日15分程度で構わないので毎日練習し、整数の計算は「速く」「正確に」できるようにしてから入塾することをおすすめします。

塾では整数の四則計算はマスターされているものとして新4年生がスタートします。受験まで、ほぼ毎日計算練習を続けることになりますので、受験勉強のスタート時に計算練習が毎日の習慣になっていることは大きな力になります。

また、意外と見落とされてしまうのが、「数字の大きさを揃えて、字をまっすぐ書けるようにしておく」ということです。クセの強すぎる数字や、薄すぎる数字、濃すぎる数字、大きさのバラバラな数字はミスの原因になります。

高学年になってから、クセを直すのはなかなか難しいものです。数字を習いたての頃に、正しい数字の書き方を習得して見易い綺麗な数字がかけるようになっていれば、大きなアドバンテージとなります。

また、計算の基本ルールは頭に入れておくようにしましょう。「掛け算」「割り算」は「足し算」「引き算」より先に計算。カッコがついた計算は先に計算する。毎日の計算でルール通りに、スムーズに計算できるようにトレーニングしておきましょう。

ノートの使い方が計算力に影響|「縦書きの筆算しか書いていない」「ノートが数字でぎゅうぎゅう詰め」のノートは要注意!

「計算ミスが多い」という悩みを抱えている受験生が多くいます。そんなお悩みを相談された際に、まず筆者が提案するのは「計算練習ノートの使い方を見直してみる」ということです。

まずは「縦書きの筆算」しか書いていないノートの場合は、「横に書いていく式」を書くようにアドバイスします。後述する計算の工夫をするためにも、また思考の過程を目で見えるようにして解き進めていくためにも、そしてミスを防ぐためにも、「縦書きの筆算」だけを書くのではなく、「横に書いていく式」を書くようにしましょう

縦書きの筆算と横書きの式 (1)

慣れない場合は、ノートを縦か横の線で区切って、「横に書いていく式」と「縦書きで書く筆算」のエリアを分けるようにしてみてください。「横に書いていく式」と「縦書きで書く筆算」を別のところに書く習慣がつくだけでも計算ミスが減っていくはずです。

「ノートに余白がたくさんあるか」をチェックしてあげてください。式と式の間に余白があるノートがよいノートです。なにもアドバイスをしないと、子供達はノートを節約してぎゅうぎゅう詰めで使う傾向があります。余白のないノートはミスの発生も多く、見直しもしづらく、思考の過程も整理しづらいノートです。適度な余白のあるノートを作れるようになると計算力もアップします。

小数点と0の処理|10、100、1000……の倍数と小数の「掛け算」「割り算」は工夫して計算

中学受験の算数は小学校の算数のレベルを遥かに超えているイメージがあるかもしれません。しかし、やはり小学校の算数で教わる基本的な内容はマスターしている必要があります。

たとえば「350×1700」をそのまま縦書きの筆算に書いて計算すると、「0」をたくさん書いて計算することになってしまいます。この計算では「350」の「0」と「1700」の「00」をいったん省いて「35×17」を縦書きの筆算に書いて計算し、その答えに後に省いておいた「0」を3つ付けると素早く計算できます。小学校でも習う計算の工夫ですが、中学受験生のなかにも、この工夫が身についていない生徒さんがいるので要注意です。

また、「240×1.7」や「3600÷240」なども工夫しているかチェックしてください。前者は「240×1.7=24×17」と工夫してから筆算します。後者は「3600÷240=360÷24」と工夫できます。これらの工夫は全て横に書いていく式の段階で工夫します。「これ以上工夫できない」「暗算では無理」というところまで工夫をしてから、別の場所で筆算をする習慣をつけると計算力が向上していきます。

5の倍数の掛け算は工夫が必須!

5の倍数の掛け算も工夫が必要なものの代表格です。

まず大切なのは、「5×2=10」「25×4=100」「125×8=1000」を暗記すること。これを利用して計算を工夫します。たとえば「37×5×2」であれば式のなかに「5×2」が含まれます。先ほどの通り、「5×2=10」と暗記してありますから、「37×5×2」を「37×10」と置き換えて計算することができます。

同じように先ほど暗記したものを利用すると、「25×12」であれば「25×4×3」にいったん変換し、「100×3」に置き換えて計算できます。さらに「125×32」であれば「125×8×4」といったん変換し、「1000×4」と置き換えて計算することができるわけです。

このように工夫すれば、筆算を書いたり、頭のなかに筆算を思い浮かべて計算したりしなくて済みます。

こうした計算の発想は、前述した数字以外の5の倍数の計算にも役立ちます。「15×12」であれば「15×2×6」に変換し、「30×6」に置き換えて計算できますね。5の倍数が入った掛け算では、瞬時に工夫が思いつくようになるまで何度も練習しておきましょう。

最小公倍数|よく出てくる数については暗記してしまいましょう!

たとえば「1/15+1/6」の計算をする時には「15」と「6」の最小公倍数を求めて通分して計算します。この時に15と6の最小公倍数を連除法(はしご算)で求めますが、よく出てくる数字に対しては連除法を使わずに瞬時にでてくるよう暗記しておけば分数の計算スピードが格段に速くなります。下記に例をあげておきましたので、即答できるようになるまで練習しておくようにしましょう。

覚えておきたい最小公倍数の例

4と6、6と8、8と10、9と12、9と15、6と15、4と10、6と9、10と12、12と15、8と12、12と18、12と16、15と18、12と20、15と25、16と24、14と21

円周率の計算|「3.14×□」の計算は、□の数字が一桁のものは全て暗記

4年生で円周の長さや円の面積の求め方を習うと、3.14×□を早く正確に計算することが求められます。習いたてのころは問題の解法自体は簡単なものばかりなので、点数の差は計算力の差によるものがほとんどです。

まずは「3.14×2」「3.14×3」「3.14×4」「3.14×5」「3.14×6」「3.14×7」「3.14×8」「3.14×9」を全て暗記してしましょう。その上で「3.14×□」の筆算を書く時に3.14を必ず上段に書くようにすれば、速く計算することができます。ここをマスターした後は「3.14×12」や「3.14×24」などのよく出てくるものを暗記しておくとなお良いでしょう。

3.14×2=6.28
3.14×3=9.42
3.14×4=12.56
3.14×5=15.7
3.14×6=18.84
3.14×7=21.98
3.14×8=25.12
3.14×9=28.26
 

平方数|平方数は19×19までは暗記

「2×2」や「3×3」といった同じ数の積を平方数と言います。中学受験では平方数を使う機会がとても多いので19×19までは暗記しておくようにしましょう。

2×2=4
3×3=9
4×4=16
5×5=25
6×6=36
7×7=49
8×8=64
9×9=81
10×10=100
11×11=121
12×12=144
13×13=169
14×14=196
15×15=225
16×16=256
17×17=289
18×18=324
19×19=361

 

分配法則を使いこなす|日々の計算練習で分配法則を練習!

分配法則とは「10×2+10×3」を「10×(2+3)」と計算しても同じ答えになる法則をいいます。中学受験でも、その後の数学でも必ず習う法則です。

中学受験で最初にこの分配法則をマスターする必要が出てくるのが「円」を習うタイミングです。

たとえば、あるふたつの円の円周の長さを合計する時に「3.14×8+3.14×12」という式が出てきたとします。分配法則を使わなければ「3.14×8」と「3.14×12」を別々に計算して、「25.12+37.68=62.8」と計算しなければなりません。

しかし、分配法則を使えば「3.14×(8+12)」と同じ答えになることがわかりますから、「3.14×20」の計算だけで「62.8」と答えを出すことができます。

この分配法則の利用は「円」の単元以外でも様々な計算で必要となります。もちろん入試に出題される「計算問題」にも、この分配法則を使えば楽に計算できるといったものがたくさんあります。

たとえば「37×28+37×72」などの計算です。分配法則を使わずに計算すると「37×28」も「37×72」も計算しなければなりません。しかし、分配法則を使えば「37×(28+72)=37×100=3700」と簡単に計算することができます。日々の計算練習で、この分配法則を使いこなす練習をすることが、非常に大切です。

分数・小数の変換|分数で計算するか、小数で計算するか考える

中学受験の入試問題では一部の学校を除いて、計算問題が数題出題されます。難関校以上のレベルになると「単純に計算してしまうと非常に手間と時間がかかるが、上手に工夫出来れば短時間で処理できる」といったタイプの問題が多くみられます。その工夫の仕方のひとつに「分数で計算するのか、小数で計算するのか」を考えながら最適な方を選んで計算していくテクニックがあります。

たとえば「42.8+1/2」は「42.8+0.5=43.3」というように小数を選択すると暗算で計算できます。また、「64×0.75」は「64×3/4=48」というように分数を選択すると楽に解くことができます。

このように、その時々の状況で分数にして計算したり、小数にして計算したりすることで手間を省いて早く答えを導くことができるようにしていくというわけです。

そのためには普段の計算において常に「分数がいいかな? 小数で計算した方が楽かな?」と「工夫する習慣」をつけることが大切です。「答えが出せればそれでいいや」で済ませてしまわずに計算の工夫を探す姿勢がとても大事です。

覚えておきたい分数⇔小数|必ず覚えておきたいものは11個

前述したように「分数と小数はどちらで計算した方がいいのか?」を選択していく必要があります。なかでも頻繁に使うもの11個を以下に挙げておきます。しっかり覚えて普段の計算に使って練習していきましょう。

1/2=0.5
1/4=0.25
3/4=0.75
1/5=0.2
2/5=0.4
3/5=0.6
4/5=0.8
1/8=0.125
3/8=0.375
5/8=0.625
7/8=0.875

 

分数の仮分数と帯分数の扱い方|基本は「足し算」「引き算」は帯分数、「掛け算」「割り算」は仮分数で

分数の計算は基本的に「足し算」と「引き算」は帯分数で、「掛け算」「割り算」は仮分数で計算します。しかし、分数の四則計算の全てを仮分数で計算しているお子さんもいて、答えが合っているために気づかれずにいる場合もあるので、ぜひ計算式を見てあげてください。

「足し算」「引き算」の全てを仮分数で計算すると、無駄に分子が大きな数字になってしまい時間がかかってしまいます。ただ、問題を解いていくなかで「足し算」「引き算」なのに仮分数を使った方がきれいに速く計算できる場面があります。基本は帯分数ですが、ここでも「どちらが楽で速く計算できるのか」と考え、工夫する姿勢が必要となってきます。迷った時にはぜひお子さんと一緒に2種類の解き方で計算して「楽で速いのはどっちかな?」と考えてみてください。

まとめ

計算は毎日のコツコツとした練習の積み重ねが必要です。しかし、なんのアドバイスもなく計算練習をするのと、「コツ」を教わりながら練習するのとでは、上達するスピードに差がついていきます。毎日の計算練習では〇か×かだけではなく、計算の「コツ」がつかめているかどうかを見守ってあげてほしいと思います。その際に、この記事がお役に立てれば嬉しく思います。

 

渕貴子

サピックス小学部の算数科講師として20年以上勤務。

自分自身が中学受験をするだけでなく、算数の講師をしながら子ども2人の中学受験を経験。現在は算数の家庭教師として活動中です。

また、中学受験生の親としての経験から、保護者の方々の相談にも乗っています。

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